こんにちは。森石勇人です。
これから測量業・建設コンサルタント業を始めたいと考えられている方で、
「会社を立ち上げたけど、この後どうすればいいの?」
「公共事業を受注するにはどうするの?」
と悩まれている人は多いのではないでしょうか?
本記事は、測量会社や建設コンサルタント会社をこれから立ち上げたいと考えている方や、すでに会社を立ち上げていて、これから官公庁案件の受注を目指している方に向けて、公共事業の受注から、収入を得られるまでの方法について詳しくご紹介していきます。
公共事業に係る業務を受注するとは
公共事業に係る測量や建設コンサルタントの仕事を受注するには、業者登録を行い、官公庁ごとに競争入札参加資格申請を提出し、そして入札を経て業務を受注することになります。
公共事業案件を受注するには申請書類の種類が多く、最初は手間だと感じるとは思いますが、それ以上のメリットもあります。
今は民間の業務しか携わっていないという方も、ぜひチャレンジしてください!
公共事業へ参入することは、社会的信頼にもつながります。
安定した会社運営を目指しましょう!
法人格の種類によって受注に影響が出る?
結論からお伝えすると、『何の影響もありません!』
一般的に、入札に参加するには株式会社にする必要があるというイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、実際には株式会社以外の形態でも入札に参加することが可能です。合同会社や個人事業主の方も積極的に入札に参加されています。
ただし、どのような形でも、法人格を取得した方が【社会的信頼度】が高いのも事実です。
法人を設立するには費用・労力が必要になりますが、将来的なビジネス展開を考えると、法人格を取得されるほうがいいでしょう。
官公庁から業務を受注するメリットとデメリット
メリット | 民間業務の実績に比べ、官公庁の業務実績は、実績として一定基準認められやすく、社会的信頼も高まりやすいでしょう。 また、安定した収益源の確保が大きな魅力です。 |
デメリット | 入札に参加するまでには、数多くの書類を提出する必要があります。 また「人脈やコネがある」といって仕事をもらえるわけでもありません。 しかし、逆を言えば新設した会社でも受注のチャンスがあると言えます。 |
官公庁から仕事を受注するための7ステップ
1.測量業・建設コンサルタント業登録
測量業務を行うにあたっては、個人、法人、元請け、下請けに関わらず、測量業の登録が必要になります。
また、建設コンサルタント業務を行うには、業者登録は任意のため必須ではありませんが、実際に官公庁の仕事を受注するためには、必ず建設コンサルタント業登録しておく必要があります。
測量士・技術管理者(技術士)の常駐や、自己資本等の要件を満たす必要がありますが、これらの登録は必ず行いましょう。
登録については、管轄の国土交通省 地方整備局 測量業係にお問合せ下さい。
建設産業・不動産業:登録担当部局 – 国土交通省
新規登録後、5年毎の更新手続きと、毎年の報告が必要となります。
特に更新手続きは「5年あるから大丈夫」と油断し、手続きを忘れてた、といった方がよく見られます。
国土交通省から、更新時に「もうすぐ切れるから更新してね」という通知は届きません!!
更新漏れを防ぐため「20●●年●月 更新手続き」とスケジュール管理を徹底しましょう!!
2.競争入札参加資格申請について
官公庁の入札に参加するには、各業者登録後、『競争入札参加資格申請』を提出する必要があります。
これは、自治体が持つ業者リストの元になる申請です。
この申請は、決算書や印鑑証明等といった添付書類を揃えておけばそれほど難しいものではありませんが、かなりの時間を必要としますし、正直なところ、結構面倒くさいです・・・
①各官公庁ごとに提出
●●県庁、△△府庁、A市、B市、C市、D町・・・と、入札に参加したいと考えている官公庁全てに提出する必要があります。
「一元化」といって、一つの参加資格申請で、国交省やNEXCO等が有効になるというものもありますが、自治体レベルでは、残念ながらほとんど単独提出が必要です。
②提出時期が官公庁ごと違う
10月頃より提出要領の公表、11月頃より受付開始という官公庁が多いです。
しかし、官公庁によって要領公表時期、受付時期が異なるため、注意が必要です。
また郵送や持参、電子申請など、申請方法も指定されています。
(ちなみに申請が有料となっている官公庁もあります。)
③有効期限が官公庁ごとに違う
有効期限が2年や3年が多いですが、1年や4年という官公庁もあります
このように官公庁ごとに提出時期や有効期限が統一されていないうえ、申請書の綴じる順番やファイルの色が決まっているなど、全ての提出要領を確認しないといけないので、かなりの時間と労力が必要になります。
『業務の受注を考えている全ての官公庁に申請したい』と思われるでしょうが、よほどのリソースがない限り、申請書を提出する官公庁をある程度限定する必要があります。
具体的には、
事業所所在地の都道府県庁と市町村
(事業所所在地が大阪府大阪市の場合は、大阪府庁と大阪市役所)
自社が参加できる可能性が高い官公庁
(見極め方法は後述します)
このあたりを中心に競争入札参加資格申請を提出しましょう。
3.受注したい官公庁の発注形態を知る
官公庁への「競争入札参加資格申請」を提出したからといって、業務を受注できるものではありません。業務を受注するためには入札・落札を経て受注となります。
入札参加方法は大きく分けると2つあります。
(細かく分けるともっとありますが、現段階ではざっくりこの2つを理解しておいて下さい。)
①指名競争入札
発注者が入札参加業者を10者程度選定し、指名を受けた業者のみが参加できる入札。
『透明性の確保』や『受注機会の均等』といったことから、現在では少なくなってきています。
②一般競争入札(公募型入札)
発注者がホームページ等で案件ごとに、「今後このような業務を発注します。要件を満たされていれば、ぜひ参加してね」と公募します。要件は発注者ごと、案件ごとによって変わりますが、申請要件さえ満たしていれば誰でも入札に参加することができます。
現在は指名競争入札より、こちらの入札方式が主流となっています。
過去や現在公告されている案件の募集要件を確認し、自社が参加できる可能性の高い官公庁をチェックしておきましょう。
4.入札情報の入手
指名競争入札における入札情報の入手方法
指名競争入札における入札情報を入手するための方法は、
- ホームページ等で公表している「発注予定情報」を確認する
- 予算書を閲覧する
- 営業活動の中で担当者より情報を入手する
といった方法がありますが、指名競争入札においては入札情報を入手したからと言って入札に参加できる訳ではありません。
営業活動の際、「ぜひ、●●案件の指名をお願いします」とピンポイントで伝えることによって印象に残りやすくなるため、指名業者に選定される可能性が高まります。
一般競争入札における入札情報の入手方法
一般競争入札(公募型入札)は各官公庁のHP上に掲載されます。
官公庁によって「毎月第一・第三金曜日」というように掲載される時期が定期的なものと、案件情報が不定期に掲載されるものがあります。
官公庁ごとに掲載されるタイミングの傾向を把握し、ホームページをチェックする頻度を決めていきましょう。
5.発注予定価格を知る
指名業者に選定される、または一般競争入札に参加申請することで、入札に参加することができます。
通常はこの時点で、金抜き設計書・特記仕様書というものを手にされているはずです。
金抜き設計書とは、名前の通り、金額の入っていない設計書のことです。
内容は、「種別・数量・単位」(例:●●測量 △㎡)といった該当の業務数量が記載されていて、単価・金額は書かれていません。
また特記仕様書は、金抜き設計書ではカバーできない部分の補足や注意点が記載されています。
この2つを見て、業務の全体像を掴みます。
次に「発注者はこの業務価格をいくらと考えているのか?」ということを知る必要があります。
つまり、予定制限価格を算出する、ということです。
「入札って、落札したい金額で札入れをすることじゃないの?」と思われるかもしれませんが、参加業者の中で一番安い金額で入札を行ったとしても、予定価格を上回ると失格となるからです。
また、過去の落札率を参考にするにしても、今回の業務の予定価格を分かっていないと参考にはなりません。
積算ソフトを導入すると簡単に積算することができますが、
まずは自分の手で積算ができる力をつけておきましょう。
積算参考資料:設計業務等標準積算基準書 ●年度版 一般財団法人経済調査会 発行
6.入札に参加する
いよいよ入札に参加です。
入札方法
入札方法には大きく3つの方法があります。
紙入札
指定された日時に入札参加業者が会場に集まり、入札箱に入札書を投函する入札方法です。
郵便入札
指定された日時までに入札書を郵送する入札方法です。
電子入札
オンラインで行う入札方法です。現在多くの官公庁が採用しており入札方法の主流となっています。
電子入札を行うためには、電子入札用ICカードとカードリーダが必要になります。
落札決定方法
こちらも大きく3つに分かれます。
詳しく見ていきましょう・・・
・予定制限価格以下で一番安価な金額を落札者とする入札
予定制限価格(設計価格)が100万円の場合、100万円以下で一番安価な金額で入札した業者が落札者となります。
予定制限価格は事前に公表する場合もありますが、公表がない場合は、自身で金抜き設計書を見て積算する必要があります。
・最低制限価格設定入札
事前に最低制限価格を設定されている入札です。
予定制限価格が100万円で最低制限価格が60万円の場合、60万円以上・100万円以下の範囲内で一番安価な金額を入札した業者が落札者となります。
また、この範囲外で入札を行った場合は、「失格」となります。
最低制限価格設定のある入札には、下記の3種類があります。
最低制限価格を事前に公表する入札
「本業務の最低制限価格は100万円です」と事前に最低制限価格を公表している入札です。
多くの業者が最低制限価格で札入れを行うため、くじ引きで落札者が決定することが多いです。
最低制限価格の算出根拠を事前に公表する入札
「予定制限価格はいくらか教えないけど、予定制限価格の60%を最低制限価格に設定してますよ!」と最低制限価格率の算出方法を事前に公表している入札です。
積算能力を向上させ、正確に予定制限価格を算出することで落札する可能性が高まります。
最低制限価格の有無のみ事前に公表する入札
「予定制限価格も何も教えないけど、最低制限価格は設定していますよ。」という最低制限価格設定の有無のみを事前に公表する入札です。
予定制限価格の正確な算出と、過去の入札結果から最低制限価格率の傾向を確認しましょう。
最低制限価格が設定されている入札においては、積算能力の向上が必須です!
分からない部分を放置せず、何度も取り組みましょう!
・総合評価型入札
技術評価点と価格点の合計で一番高得点を取った業者を落札者とする入札です。
技術資料や提案書より技術評価点が算出され、また入札金額によって価格評価点が算出されます。
その合計が一番高得点の業者が落札者となります。
各項目の配分点や点数の算出方法は事前に公表されます。
7.受注決定後の手続き~支払いの受け取り
入札を経て落札者に決定するといよいよ契約です。初めての受注時はどうすればいいか戸惑うかもしれませんが、発注者より提出資料や手順の説明があるので、その通り進めていけば問題ありません。
(ホームページ等に、手続きの進め方を詳しく掲載されている場合もあります。)
官公庁によって多少の違いはありますが、一般的な流れをご説明します。
①落札者の決定
入札により、落札者となります。
紙入札により現地にいる時は、入札終了後に契約担当課と業務担当課にご挨拶をしておきましょう。
②契約書の締結
契約課・契約検査課・調度課といった名称の部署と契約手続きを進めて行きます。
併せて、契約保証金の納付や履行保証保険の加入を義務付けされることがあります。
発注者からすると、契約するのはいいが、何らかの事情で不履行になった場合、きちんと補償してね、というもので、契約条件に含まれるものですので、必ず指示に従って手続きを進めましょう。
履行保証保険は掛け捨てとなりますが、保証金を納付した場合は、業務が完納されれば戻ってきます。
③初回打合せ
業務内容の確認と、同時に着手関係書類・業務計画書を提出します。
またテクリス(農林の場合はアグリス)の登録についても打合せをしておきましょう。
※テクリス(アグリス)とは
『業務実績情報サービス』の名称で実績データを一元化したものです。
④業務履行
業務履行中に特記仕様書等が不透明で疑義が生じた場合は、しっかり打ちあ合わせを行い、その都度打合せ記録簿を作成しておきましょう。
⑤納品
成果物を提出。提出後に差し替え修正をしないように、成果物の内容についても事前にしっかり確認しておきましょう。また納品に併せて、完了関係書類や請求書の提出をします。
⑥業務完了検査
納品時に担当職員よりOKをもらっても、まだ業務は終わりではありません。
第三者(検査官)による、履行確認を受け、検査に合格して『業務完了』となります。
検査官は同じ官公庁の担当課以外の人が選任されることが多く、契約内容の通り業務が行われたか確認を行います。
(受注業者+発注担当者) vs 検査官というイメージです。(※戦う訳ではありません)
⑦支払いの受け取り
検査合格後に請求書が決済に回り、約1カ月程度で指定口座に、委託料金が振り込まれます。
仕事をしたので、お金をもらうのは当然と思わず、入金された後、業務担当課と契約課にお礼の連絡をしましょう。
測量業・建設コンサルタント業 今後の展望
近年、測量分野では自動追尾のトータルステーションや3Dレーザースキャナ-、設計分野では構造計算ソフトなどの普及により、少人数でも効率的な作業が可能となりました。
しかしながら、これらのツールを最大限に活かすためには、高度なスキルを持った技術者の育成が欠かせません。
また、これから経営に携わる皆様にとっては、公共事業の発注量は変わらなくても、競争はますます激しくなっています。受注のチャンスを的確に捉え、より多くの受注を目指しましょう。
これらの要素を考慮すると、測量業や建設コンサルタント業は引き続き需要が高まると見込まれます。ただし、市場の変化や技術の進歩に迅速に対応し、常に最新の知識や技術を提供できる体制を整えることが重要です。
コメント
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